参政党不支持の理由 続き

(前回の文を加筆し、2頁に分けました)

 〜理由⑥徴兵制について〜

私は、国家の維持のために、自国の軍を持つことは大切だと考えている人間ではあるけれど、

徴兵制につながる(国民主権の無い)この憲法草案は

どうしても賛成しかねます

(自分の子供達や教え子達には)

戦うべき戦争なのか、戦うべき戦争でないのか、

自分の頭で考え、自分で判断して決めてもらいたいのです。

自分が納得できないまま戦争に行くようなことは、させたくないのです

例えば、ウクライナで「ロシアに負けて領土を取られても良いから戦争をやめたい」と思う人は、徴兵されるべきではない※と私は思っています。

反対に「命をかけてウクライナの領土を守りたい」という人は、戦うことを選べば良いと思います。

自由の行使の結果、仮に志願兵が少なくて敗戦したとしても、それは国民が敗戦を選択した、ということですから、民主主義である以上は、その結果に責任を取るということは仕方ないことだと思います(たとえそれが日本であっても。)

「徴兵制」は、自分が命をかけるべきものを、自分が決めるのではなく国が決める制度であり、私は反対です。

自分の信念に沿った生き方ができ、自分の人生に責任が取れること。

そういう自由を守ってくれる政治家を私は応援したいと考えています

(日本の自衛隊は優れていると思うので、政治家が外交、国防政策を誤りさえしなければ、徴兵制が無くても、日本は守れる、と私は考えている。)

※ウクライナ戦争においては、プーチンは志願兵を中心に戦場に送り出しており、ロシアは嫌々徴兵された若者はほとんど使っていない。これに対して ウクライナでは、徴兵された若者が多数無理やり戦場に送られている。ゼレンスキーは、国家主権を守る気概を持っている反面、国民主権(国民の自由)を軽んじる指導者であることが、よくわかる事例である。

理由⑦台湾問題(米中対立)についての政策

私はウクライナ支援については、参政党と同じく、反対の立場(戦争継続のための経済援助は控えるべきという考え)ではありますし、ウクライナの兵器ビジネスで金儲けをするブラックロックやネオコンなどを批判してきた参政党に、一定の共感は覚えますが、

台湾問題については、参政党と同じではありません。

神谷氏は「台湾問題に日本は関わるべきでない」「米軍は撤退すべき」という考え※ですが、

米中対立(台湾問題)については、中立的立場ではなく、「トランプ政権に協力して台湾(日本のシーレーン)を守るべき」と考えています。

なぜかというと、「シーレーンを中国に取られたら日本は中国の属国になる」と考えているからです。

現在の日本は、神谷氏の言う通り、アメリカの属国状態であることは事実です。

けれど、少なくともアメリカには信教の自由、言論の自由があります。

トランプ政権に変わったおかげで、コロナパンデミックの真相究明も進み、アメリカの公式サイトで、武漢研究所由来のウイルスであることも発表されました。

一方で中国には自由がありません。コロナの真相を暴こうとした武漢の医師は処刑されてしまいました。真相を究明しようとした人は葬られる国です。今は、香港も、中国共産党に背く人は政治に関わることができなくなりました。中国自治区の内モンゴルの学校では、言語さえ奪われました。

日本が中国共産党の悪に目をつぶれば、それはコロナパンデミックのような出来事に歯止めが利かない世界の到来を許すことになります。

そして、日本が中国の属国になったとしたら、日本から「言論の自由、思想信条の自由」が無くなることになります

私は日本の国体(皇室の存続)を誇りに思ってきたし、国家のために生命をかけて戦われた英霊たちには深く感謝しています。ただ、現代の日本で様々な思想、価値観を学んできた私にとって、国家神道は尊重すべき価値観の1つに過ぎず、私にとっての絶対的価値(生命を失っても守りたい価値)ではありません。それでも私は、「子孫や教え子たちが将来、言語や思想信条の自由を奪われることになるぐらいなら、生命をかけて阻止しなければいけない」(実際には、戦うのは高齢の自分ではなく、若い自衛隊の方々に守って頂くことになるので、このようなことを云うのはおこがましいのですが。。)と考えています

つまり、戦後を生きた私にとって、生命をかけられるほどの大切な価値とは、「自由」であって、天皇でも皇室の存続でもありません。(日本がもし国家神道のもと、自由のない全体主義国になったとしたら、そもそも生命をかけてまで若者たちにこの国を守ってほしいとは思いません。むしろ信教の自由がある国に逃げたい《逃げてほしい》、と考えます。参政党は「自由に伴う責任」と称して「国まもりの義務」(国を守ることを強制する文言)を憲法に記載していますが、このような矛盾した内容を憲法に盛り込むこと自体、そもそも「自由とは何か」が理解できていないのではないでしょうか。)

※神谷氏は、「戦争は、ネオコンの兵器ビジネスのために起こされるものなので、トランプ政権下では台湾有事は起こらない」「むしろ日本が巻きこまれないようにすることが大切」と考えているようである。馬渕睦夫氏も「台湾有事は起こらない」と主張するが、中国の軍備増強を見る限り、私は、この説には賛同できない。馬渕氏や茂木誠氏は2022年にも「ウクライナ侵攻は起こらない」と言っていたが、その予測は外れている。

※なお、伊藤貫氏は台湾侵攻の可能性を早くから主張。「アメリカが弱れば中国は台湾を海上封鎖して日本を核で脅し、台湾を取りにくるだろう」「台湾が中国に取られれば日本は中国の属国になるのは免れない」と語っている。

※バイデン政権でウクライナ戦争は引き返すのが困難な所まで泥沼化してしまった上(このまま欧州がウクライナの領土奪還を支援し続けるならば、プーチンの我慢は限界に達し、最悪の場合、英国やEUと戦争し、ウクライナという国家が消滅するまで行くかもしれない、、と私は考えている)、日本はトランプ政権発足後もウクライナ支援を続けてしまったため、このままでは、将来、台湾有事の際に、ロシアや北朝鮮が中国に協力して、日本に攻撃する可能性も否定できない、と私は考えている。トランプ共和党政権がどれぐらい続くかもわからないので、神谷氏が(米軍との連携強化が大切な)この時期に 「台湾問題不関与」を主張したり、在日米軍撤退議論を進めることは、非常に危険な選択にもなり得る、と、私は考えている。

※習近平政権後は、2022年に失脚した胡春華が再び返り咲き、次期国家主席になる可能性が囁かれはじめている。台湾侵攻に反対している反習近平勢力も強くなっていて、「習近平が失脚すれば台湾侵攻も無くなる」と楽観的に考える専門家もいるが、私は習近平政権が続くか否かに関わらず核大国である中国の民主化がなされない限り、中国の安全保障上の脅威(日本が中国の属国になる危険)は今後も続くと考えている。またトランプが主張するように、2020年のコロナパンデミックの原因が中国共産党にあるとしたら、今世紀、中国共産党独裁国が崩壊するのは、もはや歴史的に避けられないものと考えている。

※ウクライナ問題についてはトランプに協調的だった参政党も、台湾問題やパレスチナ問題について、果たしてトランプとうまく渡り合えるのかは、不明である。トランプ大統領はパレスチナの国家承認は阻止したい構えだ。何故なら、現時点でのパレスチナ国家承認は、トランプがかつて提案したアブラハム合意とは違って、アメリカの力を弱める方向に行く危険が高いから。ハマスの武器は多くが中国製であり、パレスチナ国家承認は、ハマスを強めることとなり、中国を利することになるので、トランプは阻止するだろう(トランプはハマスよりもファタハを支持している) 日本(菅総理時代)は、2020年のアブラハム合意(トランプ政策)を前向きに評価をしていたが、石破政権は、ウクライナ問題にしろ、今回のパレスチナ国家承認にしろ、トランプとは反対の立場に立っている。神谷氏が、果たして、ユダヤ人問題について、平和への道筋を立て、未来ビジョンを示せるほどの戦略を有しているのか否か、今後の動向を見守りたいと思う(2025年9月)

理由⑧憲法に、日本人の条件=「愛国心」をあげることの危険

愛国心は大切な徳目だと思いますし、愛国心のある人を育まなければ、その国は滅んで行くのも事実でしょう。

しかし、

そうした内心の徳目というのは、

強制したり、義務化されるべきものではありません。

ましてや日本人の条件とされるべきものではありません(それは、ポリコレを日本人の条件にしてはいけないのと同じです。思想統制につながるからです。)

私は古典を教えてきた人間として、ホツマツタヱ※から続く日本の神話を日本人が学ぶことは良いことだとは思っていますし、

武士道など日本の心を伝えたい、という参政党支持者の方々の考えには共感しますが、

それはあくまでも、教養の1つとして学ぶべきものであって、

教育勅語を復活させ、神社を国有化してまで、戦前回帰するのは、あまりに極端に行き過ぎだと思います。

参政党の憲法草案は、国家神道の強制につながるものが見え、思想信条の自由が見えません。

明治政府は大日本帝国憲法を作り、神道を国教化しましたが、その結果、廃仏毀釈で仏教が弾圧される事態を招きました。参政党もまた、この憲法(神社の国有化政策)を掲げることによって、同じような道を辿る危険性があります。

今は「そんなことは無い」「参政党は国民の自由を縛るような党では無い」と、支持者達は思っているのでしょうが、いざ戦争が起こり、生命の危機にさらされるようになれば、人は変わります。生命の危機の中にあって人間は強権的指導者を求めるからです。自国を守るために、為政者は中央集権的な体制を作ろうとし、そのために宗教を一元化したがる(価値観を揃えたがる)ものだからです。

※ホツマツタヱについて

古事記以前の古代書。戦後、松本善之助氏がホツマツタヱを日本書紀の原資料として位置付けた。代ゼミの講師だった故竹内睦泰氏は、竹内文書やホツマツタヱを研究しており、私は、個人的にこれらの文献(古事記以前の古代書)に対して強い関心を持っている。ただし、これらの古代書は、現在の皇室の正当性(皇室は「天照大神の子孫」であるが故に尊いとされる)を覆すような内容を含むため、明治政府により、偽書として位置付けられた。参政党支持者の中には、こうした古文書の研究者やマニアも多い(神道研究家の羽賀ヒカルチャンネルなど)。

だがもし参政党憲法に従って「神社の国有化」「皇室の権威強化」を進めるならば、これらの文献(国家神道の強化につながらないような神道の文献)の研究者が、皇室との兼ね合いで、今後政治問題に巻き込まれる、など、問題も起こってくるだろうと推測される。参政党憲法の草案者は「日本はGHQが思想統制する前の戦前の教育政策に戻るべきだ」と考えているのかもしれないが、そもそも明治時代でも思想統制は行われていた。ホツマツタヱ解説のようなオカルティックな番組(TOLANDなど)が現代、人気を伸ばすようなことは、明治憲法の下では起こり得なかったことだろう。参政党支持の愛国者にとって、敗戦(皇室を中心とした国家体制が奪われたこと)は悔しいものなのだろうけれど、一方で敗戦によってもたらされた自由があることもまた、認めるべきだと私は思う。

私は、参政党と同じく「先の大戦は侵略というよりは自衛戦争の側面が強い」「民間人への原爆投下は人類に対する罪であり、正義のためなどではない」と考えており、敗戦国を悪魔と見るような、戦後の自虐史観の見直しは必要だと思っている。しかし、だからといって、国家神道や愛国心を国民に強制するような反動保守的で全体主義的なこの憲法構想案は全く支持できない。

理由⑨「日本語が母国語でない人は日本人の要件を満たさない」という憲法を作る異様

親の事情などで、海外で幼少期を過ごして、英語などを母語とする帰国子女やハーフの生徒たちにも、私は国語を教えたことがありますが、彼らを外国人だとおもったことは私はありません。

この憲法に従えば、外国語を母語とする帰国子女、日本語が苦手な帰国子女は、日本国籍を持てない、という異様な事態になります。自分の生徒たちの日本国籍を(親が日本人にも関わらず)守れないような不寛容な憲法を、私が支持できるはずがありません。

理由10 大衆受けする政策を前面に出す手法

そして 神谷氏は選挙民の前では、「国守りの義務」「象徴天皇をやめ、天皇を元首に戻す」というような話は極力云わず、

「子供1人毎月10万円」というような耳障りのよい話ばかりをする点、

この政党の危うさを感じます。

何より、参政党支持者の多くが、この憲法をあまり読んでいないことが

大変怖いことだと感じます。

このような憲法を掲げれば、

日本は中国だけでなく、欧米からも「戦前回帰したのか」と警戒されてしまいます

このような憲法を目指すような政治家が政権中枢に入り、

自由の無い社会ができてしまったとしたら、

私は深く後悔することになると思い、

急ぎ掲載しました。

私は10年以上前から、イスラエルやウクライナに詳しい馬渕睦夫さんの言論に学び、その高い知見には到底及びませんし、

参政党の躍進によって

減税の議論が進んだり、

現憲法の問題点があぶり出されたことは

良いことだと思っていますが

この参政党の憲法案を見る限りは、

やはり、

この政党が

全体主義的危険性の高い政党であることもまた、否めません。

また、憲法を創憲できるほどの教養が不在であるにも関わらず、

国の根幹である憲法を、党員が安易に作れる、と考えてしまう発想は

「己の器を知らない」者の軽卒な発想だと思わざるを得ません。

「己を知らない者」が、戦争を指揮する立場に立った時、

その国の国民は、先の大戦の時と同じく、

(兵站も無いのに根性論だけで戦わされた日本兵のような)悲惨な道をたどることとなると予想されます。

歴史的にみて、

戦乱の時代に、

無能な指導者のもとで戦わされる国民ほど不幸な人生はありません。

参政党チャンネルの近代史観には一部共鳴する部分もあり、

参政党の中には尊敬する人も多々いるので全否定するつもりはありませんが

この憲法を理想とする人が党の中心である限りは、

私は参政党にこの国を託すことはできません。

あくまでも 野党としての存在にとどまってほしいと願っています。

ナチスは世界恐慌の苦しみの中で躍進しました。日本が同じ道を辿らないことを祈ります



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