和歌クイズ 答え

さて、答えを探す前に、まず、ヒントの和歌から見ていきましょう。

逢坂(あふさか)も
果(は)ては行き来(き)の 
関(せき)もゐず 
たずねて来(こ)ば 来(こ)
来(き)なば帰さじ

この和歌では、沓冠(くつかぶり)という修辞が使われています。(詳しくは「俊頼髄脳」(としよりずいのう)を調べてみてね。ちなみに「俊頼髄脳」の、この和歌については、昔、上智大学で出題されたことがあります)

それぞれの句のはじめの一文字ずつを、つなげると、言葉が出てくるんですね。

これを「折句(おりく)」と言います。

つなげてみると 

あ は せ た き 

ですね。

何だろう?と思って、辞書を調べた人は偉い!

「あはせたきもの」という語があるんです。

これは「合わせ焚物」と言って、お香のことです。平安人は、現代のようなちゃんとしたお風呂がありませんでしたから、現代のように身体をしっかり洗う習慣もなく、、デオドラント対策が必要だったんですよねw  それで、服にお香で香りをつけて、体臭をごまかすんですが。。その香りを、色んなお香を調合して作るんです。なので、現代でも、香水に色んな種類がありますが、平安人も「源氏の君の香り」とか「◯◯君の香り」のように、人によってつけている香りが違ったので、夜、男性が家に来て、御簾で見えなくても、香りで誰が来たかわかったりします。「あれ、今日は匂いが違う、これは別人か」みたいな、、。w

でも、ここでは「あはせたき」までしかありませんから、「も」「の」がどこにあるか探してみますと、、。

すると、一句目「逢坂も」と二句目「果ては行き来の」に出てますね。そう、今度は句の「最後の字」をつなげてよむんです。


すると

「も の ず こ じ」

が出てきます。

つなげると「合はせ焚物すこし」という語が出てきますね?(濁点は取り外し自由です)

なんか「暗号」みたいですよね。

各句の最初の字に、語句が折り込まれている修辞を「折句」といいます

折句は「5文字」なんですが、最後の文字もつなげてみると「10文字」になりますね。

これを「沓冠」といいます。

ちょっと高度な技ですが、兼好と頓阿も、「沓冠」で、暗号を入れて会話していたんですね。


夜(よ)も涼し
寝覚(ねざ)めのかりほ
手枕(たまくら)も
真袖(まそで)もあきに
へだてなき風(かぜ)

各句の最初の字を1句2句、、とつなげ、各句の最後の字を(この歌ではヒントの歌とは違い、最後の文字は下から読みます)5句4句、、とつなげていくと

「よねたまへ(米給へ)  ぜにもほし(銭も欲し)」

となりますね。

頓阿の返歌

夜(よる)も憂し
妬(ねた)く我が背子(せこ)
果(は)ては来(こ)ず
なほざりにだに 

しばし訪ひませ


「よねはなし(米は無し)  せにずこし(銭少し)」

と返事しているのがわかりますね。

「お米をください。お金も欲しい」という兼好と「米は無いよ、お金なら少しあるよ」という頓阿。

「背子」というのは「夫」のことです。「腕枕をする妻が、隣に寝てなくて(袖が空き、秋風が吹く→「あき」の掛詞)、寂しい」という夫に、「夜、あなたが通いに来てくれなくてつらい、ひどいわ、何かのついででもいいから来てよ」という妻。一見、夫婦の和歌のやり取りに見せながら、友達にお金とお米ををお願いしていた、というわけですね

ということで、答えは「エ」でした!

解けましたか?

なんか、楽しい会話ですよね。まるで、東大王同士の会話みたいw

兼好もすごいけど、この和歌の真意を読み取った頓阿も「さすが」ですよね。

皆も、今度、友達同士で「暗号」をいれた和歌にチャレンジしてみては?









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