ウクライナ紛争をめぐる保守の対立2
〜トランプ支持者の対立〜
トランプは、「私はDSと戦っている」といいました。
ところが、このDSの解釈をめぐり、今、ネットの間では、保守(トランプ支持者)の意見が割れています。
「プーチンもDS(ネオコンやユダヤ資本家)と戦っている」と考える馬渕氏や篠原氏の意見に反対するのは、保守の中では、百田尚樹氏のような「虎の門ニュース」の人たちです。(2022年3月当時。)
虎の門ニュースには、ウクライナ人のナザレンコさんという人がいて、プーチン批判をしています。
これに対して、我那覇氏は、
(ナザレンコ氏のような)在日ウクライナ人が、日本の北方領土問題に同情を示しつつ、プーチンを強烈に批判しているのは、
「日本をウクライナ側につかせて、ロシアとの戦いに日本を参戦させようとしている」プロパガンダではないか、と、
疑っているようです。
一方で、百田尚樹氏やネトウヨ代表の闇の熊さんなどは、
プーチンを「DSと戦う英雄」と考える馬渕氏などの言論について、危険だと考えているようです。
それは、「侵略者プーチン」の意図を読み間違える言論であり、
「DS」という陰謀論的な言葉を持ち出すこと自体、
日本にとって危険極まりない、と、考えているようです。
〜DSとは〜
私は、自分の見解を述べるときには「DS」という言葉はあまり使いたくないので、この言葉は今までつかわないようにしてきました。
でも、トランプが「DS」という言葉を使ったことで、トランプ支持者たちや、アメリカのメディアでも、DSという言葉がしょっちゅう使われるようになり、
私も、篠原さんや河添さんなど、DSという言葉を使うYou Tubeを紹介してしまった以上は、
ここで一度、「DS」についての考えを整理する必要があると考えました。
トランプ支持者たちは、先の不正選挙問題で、それらを訴えた民衆たちを抑圧し、トランプを落とそうとする、大きな力が働いたと考えています。
つまり、アメリカという国の政策が、大統領のような、選挙によって選ばれた政治家の意向によって決まるのではなく、国民の意思が反映されない状態になっていることに憤りを覚えているわけです。
政治家の裏側にいる軍需産業や、ジョージソロスのような金融資本家、官僚機関や諜報機関、グローバル企業など、選挙に選ばれていない人たちの思惑にそって、政治が進められている状態、
この「状態」のことを、「ディープステート(陰の支配)」と、彼らはよびます。
そして、今、保守言論人の間で意見が割れていることが、プーチンは果たして「DS(アメリカのウォールストリート勢力)」と戦っているのか、それとも単なる「侵略者」なのか、という議論です。
〜ウクライナ戦争は「権威主義VS民主主義」か「グローバリストVSナショナリスト」か〜
馬渕氏は、「DS」の中心にいるのは、ユダヤ財閥などを中心としたユダヤ勢力であり、世界を単一市場にしてお金儲けをし、お金の力で世界を支配したいウォール街勢力である、と捉えていますが、
果たして、今回のウクライナ戦争が馬渕氏の言う通り、「グローバリストVSナショナリスト」であるかどうかは、プーチンがこの戦争に勝った後にどうなるか、を見なければ、最終的に判断することはできません。
つまり、馬渕氏の見方があたっているかどうか、この判定にはもう少し時間がかかると私は考えています。
もし、この戦いがバイデンの言うように、「民主主義VS権威主義」ならば、
プーチンが勝った後のウクライナは、香港のように、民主主義が奪われていくことになります。(ゼレンスキーが勝てば、ウクライナの民主主義は守られることになります。)
一方、馬渕氏が言うように、プーチンがグローバリズムと戦っているナショナリストであるならば、
ゼレンスキーにプーチンが勝った後、ウクライナを親露派の政権(昔のヤヌコビッチ政権など)に戻したら、プーチン自体は、ロシアの内政に軸足を戻していくことになるでしょう。(ロシア人の多い東南部は、ロシア人保護の名目で独立させて併合してしまうかもしれませんが。)
このウクライナ戦争を「ナショナリストVSグローバリスト」と考えているのは経済アナリストなどに多く、私がよく読んでいる藤原直哉さんという人も、この視点で、この戦争をみています。
藤原氏は
ウクライナに停戦条件としてプーチンが提示している「ウクライナの非軍事化」について、
もし、これがかなえば、「ウォール街が目指していた、世界のグローバル化計画は、終焉を迎える」と、言っています。
「非軍事化」というのは、敗戦後の日本のようになる、ということですから、ウクライナの「闇=外国勢力も関わっている生物研究室や軍需産業などの内実」について、暴かれるということになります。
ウクライナには、アメリカだけでなく、トルコや中国などの軍需産業も入り込んでおり、世界の「闇」の部分が暴かれてしまうことになります。
この「闇」を裁くのが果たしてプーチンであってよいかどうか、ということで、各国の思惑が絡んで、今プーチンを止めようと必死になっているのでしょうが、
最後は「善悪」ではなく「力」が全てですから、核を持っているプーチンにはかなわないだろう、というのが、藤原直哉氏などの意見です。(※3月当時。4月になると、プーチンは非軍事化ではなく、「NATO非加盟=中立化」を求める方向で、要求を弱めた。)
またロシアは今は金本位制に近い経済体制にかわりつつありますが、ロシアがドルを必要としなくなれば、逆にウォール街がユーラシア大陸に入ってくる手段を失うわけで、スウィフト排除なども、グローバル化を押し止める方向に進みます
ハンターバイデンとウクライナのオリガルヒのつながりなどが暴かれれば、ウォール街勢力はユーラシア大陸から手を引いていくことになるので、ウクライナ戦争でもしロシアが勝てば、グローバリズムは終焉するだろう、と、藤原氏は述べています
(馬淵氏、藤原氏は、食料やエネルギー資源を自給できるロシアが、最終的には、この闘いに勝つ、と予想しています=ウクライナと欧米側が負ける、と予想しています)
どちらにしても、国連にも頼れず、アメリカも弱体化し、アメリカにも頼れなくなってきた日本としては、
ロシアが再び強大化していく可能性も見据えつつ、中国の脅威とも向き合うための今世紀の外交のありかたについて
相当真剣に考えなければならない時代にあることは間違いないと思います。