共通テスト2023
世界史解説
もぎせかチャンネル 解説➀
解説➁
解説➂
今年は、時間的な都合により古典の解説プリントが作れそうにないので、
私が今教えている生徒たちでも解けそうな古文法の問題に
絞って解説をしてみたいと思います。
(今年中には共通テスト古典解説プリントを作ろうと思っていますので、 欲しい人は個別に申し出てください。年内にはお渡しできます)
私の学校の生徒は、今年の共通テストの古文法の問題は 中3で解答可能です。
下に問題を載せてみますので、時間のある時に解いてみてください。
ちなみに今年の共通テストの古文は「俊頼髄脳(としよりずいのう)」でした。源俊頼、覚えてますか?(昨年の期末テストに出ました)
「俊頼は、有名な歌人で、歌の論評文をたくさん書いているので、入試にもよく狙われる」みたいなことをどこかのクラスでつぶやいたような記憶がありますが・・。(はたして、生徒は忘却の彼方だろうか・・(T_T))
そういえば、俊頼の「うかりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを 」の 和歌の小テストで「はげしかれ」の主語を2つ尋ねた時に、
「うかりける人(自分に冷たい恋人)が、はげし(自分にますます冷たく接する)」と捉えるのではなくて、なんと、「初瀬の観音が(はげし)」と答えた人がいました
「観音様が自分に「はげし」く接してきたら、ビームとかしてきそうで怖いね」って書いてテスト返却したような記憶がありますが。笑
この歌は「憂かりける人(私を悩ましている人=好きな人)が、私を好きになってくれますように。そう初瀬で祈ったのに、恋の相手は、山おろし(初瀬の山から吹く風)のように、私に冷たく当たるようになってしまった」という意味なのですが、「恋人が、私にはげしく(冷たく)あたりませんように」という祈りの答えが、観音様のビームだったら、もはや誰も「初瀬詣で」に行かなくなるような気がします・・・。
何年もこの仕事をしていると、珍プレーではないけど、珍解答がたくさん見れて、ほんと、面白いです。へたな漫才見るよりよっぽど面白い。
でも、「観音様」と言ったら、私のような昭和を生きた嫗(ばばあ)にしたら、「慈悲の象徴」のイメージでしかないけれど、今の若い世代の人は、「観音様」と言われても、「慈悲」よりかは映画の「GANTZ」みたいな(ビームとか出して人間を襲ってくるような)イメージが先に出てきそうな気も確かにしますよね・・。
生徒の解答とか見ていると、世代間ギャップみたいなものがよくわかるし、いまどきの子たちの発想が面白くて、なんだか、とても学びになるんですよね。あー、、自分は化石化しているんだな、、みたいな実感が湧いてきたりします笑
今年の共通テストは古典は問題としては解きやすかったように思います。
(昨年の文章がとにかく読みにくく、悪問だったので。)
ただ、共通テストになってから、何しろ分量が多いんですよね。
国語に限らず、ゆっくり解いたら解けるのですが、時間制限があるので、速読できないと、点が取れない、という難点が出てきたような気がします。
「思考力」を問うために、分量が増えたのはいいとしても、問題量に沿った時間を与えてもらっていないがために、結果「じっくり考える時間」が確保できない。という悪循環になっているような気がします。
とはいえ、問題に難癖をつけたところで(共通テスト問題の作成に関与できない一講師の私が文句を言ったところで)始まらないので、このひどい共通テストに対処するために(この厳しい条件でも得点率をあげるために)は 現代文漢文ともに「速読力」を身に着けるしかないかと思います。
そして、速読力を身に着けるためには、「分量をこなして、古文に慣れる」ことが大切かと思います。日ごろ、読書量が多い人は、速読ができるようになってきますが、日ごろ、読書量の少ない人は、読むのがとても遅くなります。
特にスマホやゲームなどで、映像などの視覚情報でしか物事を理解・認識できないような反射的な人間になっていると本当に「痛い」です。
スマホもゲームも依存性が高いので、もし、自分はゲーム依存症だな、とか、1日3時間以上はスマホに向かっているようなスマホ依存症だな、と思われる人は、1月に3日とかでもいいので、「スマホ断ち」期間をたまに作るようにすることをお勧めします。今からでも国語力は上げられると思いますので、国語力が伸び悩んでいる人は、是非意識して、読書の時間を確保しましょう。
特に、学力は「集中力」が大きく影響します。
ゲームやスマホは集中力を下げる所があるので、若いうちは本当に気を付けた方がいいと
思います(中年の私でさえ、ネットが普及してノートとペンで勉強する時間が減ってから集中力、視力が落ち、あっという間に漢字が書けなくなりました)
前置きが長くなりました。
では、文法問題を載せておきますので、ぜひ解いてみてください。
~共通テスト問3古文~ 次の傍線部の解説として正しいものを選べ
➀侍の若からむをさしたりければ・・
「若からむ」は「らむ」が現在推量の助動詞であり、断定的に記述することを避けた表現になっている
➁(殿上人達が歌詠みの良暹を探していたところ)かたはらに若き僧の侍りけるが知り、「さに侍り」と申しければ・・
「さに侍り」は「侍り」が丁寧語であり、「若き僧」から読み手への敬意を込めた表現になっている
➂(殿上人達が良暹に連歌を詠むように促したところ)もしさやうのこともやあるとて
まうけたりけるにや、聞きけるままに程もなくかたはらの僧にものを言ひければ・・
「まうけたりけるにや」は、「や」が疑問の係助詞であり文中に作者の想像をはさみこん
だ表現になっている
④(殿上人達が連歌の下に句をつけようとするが付けられず)「・・わろきことなり、これを今まで付けぬは。・・」
「今まで付けぬは」は、「ぬ」が強意の助動詞であり、人々の驚きを強調した表現にな
っている。
⑤何事も覚えずなりぬ。
「覚えずなりぬ」は、「なり」が推定の助動詞であり、今後の成り行きを読み手に予想さ
せる表現になっている。
※※※
できましたか?
では解答解説をしていきますね。
➀侍の若からむをさしたりければ・・
「若からむ」は「らむ」が現在推量の助動詞であり、断定的に記述することを避けた表現になっている ×
※「若から」は、「若し」の未然形。「若から/む」となる。
「らむ」の接続は終止形 なので、この「らむ」は現在推量の「らむ」ではない。
例 雨降らむ→ 「降る」未然形+「む」推量
雨降るらむ→「降る」終止形+「らむ」現在推量
➁(殿上人達が歌詠みの良暹を探していたところ)かたはらに若き僧の侍りけるが知り、「さに侍り」と申しければ・・
「さに侍り」は「侍り」が丁寧語であり、「若き僧」から読み手への敬意を込めた表現になっている ×
※会話文(セリフ)の中の丁寧語は、ナレーター(会話主)から、聞き手(このセリフを
聞いている人)への敬意。地の文では丁寧語は作者から読者(読み手)への敬意。
➂(殿上人達が良暹に連歌を詠むように促したところ)もしさやうのこともやあるとて
まうけたりけるにや、聞きけるままに程もなくかたはらの僧にものを言ひければ・・
「まうけたりけるにや」は、「や」が疑問の係助詞であり文中に作者の想像をはさみこん
だ表現になっている
※「や」は係助詞であり、「や」の意味は疑問か反語。「にや」の下には「あらむ」が
省略されている
④(殿上人達が連歌の下に句をつけようとするが付けられず)「・・わろきことなり、これを今まで付けぬは。・・」
「今まで付けぬは」は、「ぬ」が強意の助動詞であり、人々の驚きを強調した表現にな
っている。 ×
※「つ」「ぬ」は完了の助動詞だが、下に推量系の助動詞が来た時に強意の意味となる
例:ぬべし ぬらむ など
※「付けぬ」の場合、「は」が続いているので、この「ぬ」は終止形ではなく、連体形。
したがって、完了「ぬ」の終止形ではなく、打消「ず」の連体形である。
⑤何事も覚えずなりぬ。
「覚えずなりぬ」は、「なり」が推定の助動詞であり、今後の成り行きを読み手に予想さ
せる表現になっている。×
※この問題は迷った人もいたかもしれない。助動詞「なり」は上の活用形によって識別する
よが原則なので。終止形につく「なり」は推定、連体形や体言につく「なり」は断定、
と覚えていた人は、「ず」は終止形で、「なり」は推定、と早合点してしまいがち。
でも、思い出してほしい。助動詞「ず」と形容詞の活用には補助活用があるので注意が必
要ということを。原則助動詞は、補助活用につく。ということを。
例えば、「雨降らず」という文に過去の助動詞「けり」を付けるとどうなるか。
「けり」は連用形接続なので、「ず」を連用形にしなければならない。
その時に「雨降らずけり」とはできない。「ず」の連用形は「ず」ではあるが、
「ず」にはもう一つ補助活用が存在するので補助活用の「ざり」に「けり」を付けて
「雨ふらざりけり」となるのである。本活用には助動詞「けり」も推定「なり」もつけな
いのである。 したがって、「~ずなり」「~くなり」の「なり」は動詞になる。
例 雨降らずなりぬ→雨が降らなくなった(「なり」は動詞/「ぬ」は完了)
美しくなりぬ→美しくなった
ここでも「覚えずなりぬ」の「なり」は動詞である
従って答えは➂
どうでしたか。中3で解けた人はえらい!
2つまでに絞れれば、それでも偉い。
解けなかった人は、もう一度復習しておきましょう
助動詞の「接続」「活用」「意味」は、今は完璧でなくても、高1の終わりまでには
押さえましょうね!