ウクライナ危機 2 

〜民主化運動か、クーデターか~

 2013年11月、ウクライナで反政府デモが起きました。
 ことの発端は、 ウクライナのヤヌコビッチ大統領が、EUとの経済連携協定に 署名することを直前で拒否したことにはじまります。 
ウクライナは、旧ソ連の国ですが、 ソ連が崩壊し、独立した後も、貧しくて、どこか大国に頼る必要があり、 国内は、EU側に付きたい親EU派とロシア側につきたい親露派とに分かれていました。
 ヤヌコビッチはEUとの協定に著名しようとしてたのですが、 EU側は、その条件として、収監中のティモシェンコ元首相の釈放を要求してきました.
 ヤヌコビッチにしてみれば、ウクライナの法律に則って収監された囚人を勝手に 釈放することなど、呑めるはずはありません。 
EUによる内政干渉に対してヤヌコビッチが業を煮やしていた時に、
「EUの予定していた経済支援を 肩代わりする」と、話を持ち掛けていたのが
ロシアのプーチンでした。 
 そこで、ヤヌコビッチがロシアになびき、EUとの署名を拒否したことに、 国内の親EU派が怒り、デモがはじまります。


〜ネオナチの暗躍〜

 ところが、このデモ隊の中に武装勢力が入りこみ暴動に発展し、また、このデモに対しての発砲がおこります。
 ちなみにこのデモ隊に紛れ込んだ武装勢力はネオナチなのですが  ここで起こった暴力や暴動と発砲が、ヤヌコビッチ政権による民衆弾圧、として、 欧米メディアでは報道され、
 デモ隊に発砲した悪者として、ヤヌコビッチはその職を追われます。

 これを、欧米のメディアは「民主化デモ(マイダン革命)」と言っているのですが この暴動の犠牲になり、亡くなった人に打ち込まれた銃弾を調べると、 アメリカ製であることがわかっていて、
 馬淵氏は、 このマイダン革命について、 ネオコンやジョージソロスが反政府活動家に武器を供与し、 親露政権を打倒する意図で仕組まれたものだと 主張しています。(ジョージ・ソロスは雑誌のインタビューで、ウクライナ危機への関与を認める発言をしています。)

 ~暴動や紛争でお金儲けをするアメリカの軍需産業~ 
 ただ、このウクライナのデモ隊に紛れた武装勢力は、ウクライナの中にいるネオナチである ことが、当時の住民からの写真などからわかっています。 
ユダヤ系のネオコンやオリガルヒがなぜ、ユダヤ人の敵であるはずのネオナチに武器供与をするのだろうか?という疑問を もつかと思いますが、 ユダヤ人の中にもいろいろいて、 「軍需産業」とつながり、紛争を起こすことでビジネスをしている勢力が一定いるので、 彼らにとっては 武器を売り、紛争をおこし、反プーチン政権を作れればそれでよい、と、 考えたのだと思われます。
 ただ、ユダヤ人の中には、こうしたネオコンの動きを嫌う人も多いようです。 (なので、単純に、「在米ユダヤ人=ネオコン=戦争を望んでいる」というような括りで見るのは誤解を生むかと思います) 

 ~ビクトリア・ヌーランドについて~

 ちなみに、なぜ、このウクライナ危機で、ネオコンが絡んでいると言われているかというと、 この時、アメリカ国務省にいたヌーランドの電話記録が残っているからです。 ヌーランド国務次官補は、現在もアメリカの国務省で、ブリンケンのもと、対露政策に関わっていますが、 彼女は夫とともに、ネオコンを代表する人物です。 
 彼女の電話記録では、ウクライナにいるアメリカ大使と、 ヤヌコビッチ政権の後の人事について話し合っている記録が残っていて、
 一時期、ネットで流れていたことがあります。

 「なんで、アメリカ人がウクライナ政府の人事を話し合うんだ?」と、つっこみたくなる出来事ですが、 実際に、この電話記録に残っていた通り、 武装勢力による混乱で、ウクライナ大統領が逃亡し、大統領を降りた後、 ヌーランドが電話で指名していた反露派のヤツェニュクが新首相になっています。
 (つまり、アメリカのネオコンが、ウクライナに親米・反露政権をつくるために、デモと暴動をおこした、と、馬淵氏は解釈しています) 

 ~ロシア語を公用語から外そうとした新政権~

 新政権によって国民が幸せになるなら、「ネオコン」のかかげる「民主主義の輸出」にも理があるのかも しれませんが、ウクライナ政府の政策を見る限り、残念ながらそうなっているとは言い難いものがあります。

 ウクライナの東部や南部(ロシアに近い地方=クリミア・ドネツィク州・ルハーンシク州)は、ロシア語を母語とする人も多いのですが、 新政権にかわると、新政府は、それまでの法律を覆して、それまで公用語として認められていたロシア語を公用語から外し、 「ウクライナ語のみを公用語とする」という法律を出すんですね。 
 これは、さすがにひどいのではないか、、と、私は思いました。 ヤヌコビッチ政権を追い出して親米政権をつくり、それを「民主化だ」とメディアは言っているけれど、 これでは、親米政権がやっていることは、 中国政府が内モンゴルで「モンゴル語禁止」条例を出した(内モンゴルでは、学校でモンゴル語を 話してはいけない。中国語しか許されない)のと、さほどかわらないようにもうつります。 
 つまり、ネオコンの協力によって樹立された新政府がやろうとしたのは 「民主的政策」ではなく、「ウクライナ系民族への同化政策」じゃないか、と、 批判されても仕方がないと思うんですよね 
 これに対して、当然、ロシア系住民が猛反発。 東部のドネツィク州などは独立を求める事態に発展します
 
〜親ロシア派への弾圧〜
 ウクライナのオデッサという場所では、親ロ派が50人ほど虐殺される(建物に閉じ込められて焼き殺される)、という事件も起こりました。 (この事件に対して、新首相のヤツェヌクは、「親ロ派(反政府側)が火をつけた」と言い張り、 親露派の住民を、まるでテロ組織のような悪者にしたがっていましたが、 証拠映像が残ってしまっていたために、嘘がばれてしまう、ということもおこりました) 

 
〜親米ウクライナ政権を恐れたクリミア〜

親ロ派の多い東部や南部の人達は、反露・親欧米政権のもと、ロシア系住民への差別・暴力に対する不安感をつのらせます。
 特に、90パーセントがロシア語を母語とするクリミアでは新ウクライナ政府による統治を拒む住民が 多かったため、ロシアへの併合を問う住民投票が、住民の意向により行われることになりました。

〜クリミアの住民投票〜

 ただし、この選挙では、暴動や妨害、武器の使用、不正が行われることを防ぐために、 ロシアが軍を出して、EU側の人も一部立ち合い、厳格に見守られる中、選挙が 行われました。 
 そして 投票の結果、クリミア住民の9割以上がウクライナからの独立を支持、それを受けて プーチンはクリミア併合を行いました。
 にもかかわらず、あとから、「住民投票は不正だった」というような報道が欧米メディアでは あいつぎます。

〜欧米日の偏向報道〜

 日本のメディアでは、この「クリミア併合」について クリミアで住民投票があったことにはほとんど触れずに、 プーチンが一方的にクリミアに侵略したような書き方をしていました
 他方、ロシアの国民の多くは、プーチンのウクライナ併合を支持し、 「クリミア併合は、ウクライナにいる、ロシア系住民を守る行為だ」と 捉えられています。 (元ウクライナ大使の馬渕氏などによる)
(ただし、ウクライナ国民は、ソ連時代にスターリンの圧政に苦しんだので、親露派であっても、ロシアに対する感情は複雑で、親欧米政権の統治には反対だが、かといってロシアへの併合を全員が望んでいるとも言い難いところがある。また、クリミアについては、プーチンがロシアの利益を守るために強引に併合させた部分もあり、国際法に違反するのも事実である)

 EU側は、クリミアの住民投票の結果を受け入れることを拒みます。
 ただ、私がプーチンだったら、やはり「怒る」だろう、と思います。(クリミアにはロシア軍基地があるので、その基地の支配を欧米に受け渡すことになりかねないので、クリミアは、地政学的にに、ロシアにとっては手放せない場所である。)

 ロシアと欧米は、こうして対立を深めます。


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