プーチン演説

  (一部更新しました 10/6)

あまりにも世界情勢がめまぐるしく、何から語ってよいかわかりませんが、

 取り急ぎ、ウクライナ情勢をウォッチしている人のために、

 今日は、一昨日のプーチン演説のリンクを載せておこうと思い立ちました。

 プーチン 2022 9/30 演説全文  (青山貞一氏訳)

 http://eritokyo.jp/independent/Ukraine-war-situation-aow1589.htm


 ポイント解説

 もぎせかチャンネル

https://youtu.be/rLJoR4xZA0w


プーチン演説の内容 (もぎせかチャンネルの補足として)※

★太字は、プーチン発言を要約したもの。

4州の人々は永遠に我々の市民である。我々は、あらゆる手段でこの土地を守り、国民の安全な生活を確保するためにあらゆる手段を尽くす。キエフ(ゼレンスキー政権)は、この決定に従い、それ以外の方法を取ってはならない。2014年から続く敵対行為をやめ、ここで停戦に応じること、それが、この戦争を終わらせる、唯一の平和への道である。※

4州の併合により、この地域はロシアとなったため、この地域への攻撃は、今後はロシアへの攻撃と同列に見なされ、核を含む殺傷力の高い武器で応酬する可能性がある(世界大戦へと発展する可能性)、と言って、ウクライナに武器供与する国や、ゼレンスキー政権に、停戦を求めている。

※イーロン・マスクは、4州併合の住民投票について、国連監視下のもとのやり直しを行うことをTwitterで提案したが、ゼレンスキーがこれに反発。イーロン・マスクは、このままウクライナがクリミアを奪還しようとすれば全面戦争になり、ウクライナは負けることになるし、双方死者が増えるだけだから、ここで4州の住民投票をやり直して、停戦すべきだと訴えたが、この発言について、SNSやネットメディアでは「ウクライナを見捨てるのか」「ロシアの味方をするのか」などと、批判が殺到。突如マスク氏は、Twitterの買収に合意。マスク氏の動きも目が離せない状況となっている。(詳しくは「カナダ人ニュース」さんで報道している)

ノルドストリームの爆破は、アメリカがやった

※ノルドストリーム爆破の犯人については、バイデンはプーチンのこの発言を「言いがかり」として、非難した。しかし、先日、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、この爆破を、「ポーランドとアメリカによるものだ」と発言し、「多くの専門家も口には出さないが、内心はアメリカのせいだと思っている」と、言ったので、その発言がアメリカでTwitterで話題になっている。この一件でEUの国民は今後アメリカ不信が加速して、ロシア制裁への足並みが崩れることが予想される。

アメリカは、EUがロシアからエネルギー資源を買うことを阻止することで、EUを脱工業化(弱体化)し、欧州市場を乗っ取ろうとしている。※

★ロシア制裁によって、世界で、エネルギー危機やインフレ、食料危機が引き起こされようとしているが、アメリカは、それを全てロシアのせいだと責任転嫁しようとしている


注※ノルドストリームが破壊されたことで、ドイツはロシアの安い天然ガスを買うことができなくなり、値段の高いアメリカのエネルギー資源を購入する必要にせまられるので、これにより、ドイツ経済の衰退は必至である。おそらく、プーチンはそのことを指しているのだと思われる。

また、ドネツク州には、バイデンが利権を得ているブリスマ社が発掘しようとしているガス田がある。ブリスマ社が、ウクライナでシェールガスの発掘に成功すれば、EUは、ロシアではなく、ブリスマ社を通してウクライナからガスを買うように促せるので、EU市場でガスを売り、利益を得ていたロシアは経済的に弱ることになるし、アメリカがその分の利益を横取りすることができるはずだった。しかし、ドンバスをロシアが併合してしまえば、アメリカ主導でのウクライナのシェールガス田の開発ができなくなる。従って、この戦争には、エネルギー利権が多分に絡んでいると、(私は)考えている。

★今世界に広がっているロシア恐怖症は、人種差別以外の何物でもない。

★欧米の政治家たちは、プロパガンダ(ロシアは脅威だから制裁しなければならない、という嘘)を信じさせて人々を支配しようとするが、紙切れ(ドルやユーロ)では人びとは養えない。人々を養うには、食料と(ノルドストリームが破壊されたので、代わりにエネルギーを運ぶ)船が必要だ。

★(ロシアを制裁し、エネルギーが来なくなった欧州で)政治家は、国民に、「食事の回数を減らし、入浴の回数を減らし、暖房をやめて服を重ね着して冬を越さなければならない」と説得する。そして、国民が「なぜそんなことをしなければならないのか」と問えば、「ロシアのせいだ」と嘘をつく。※

※ プーチンは、世界的なインフレ、エネルギー危機、食糧危機の原因は、ロシアの軍事侵攻が原因ではなく、各国の政治家の政策(「ロシアへの制裁」政策)が原因である、と、訴えている。

★「ニセ預言者は、その果実によってはかられる。」(聖書『山上の垂訓』より)※

注※イエスキリストの言葉を引用して、欧米のリベラル的価値観(中絶推進や、LGBT保護政策、宗教軽視)を批判したのだと思われる。

※現在、アメリカの分断(トランプ支持者と民主党支持者)の大きな対立の争点となっているものの一つが宗教問題である。アメリカ民主党支持者は、「聖書(宗教)に縛られない自由」を主張する。しかし、聖書を道徳の根拠にして幼少時学んできたクリスチャンは、「神が男女の性を分けた」と教わって育ってきた。また、人間の魂を創ったのは神だから、子供を妊娠した以上は、親の意向で勝手に胎児を殺すこと(中絶すること)は、不道徳なことであると考える。安易に性転換手術を勧めたり、「男女以外の性がある」と、幼い頃から教えこむような思想教育(種)から育つ人材(果実)は、「信仰と伝統的価値、自由、家族などの大切な価値を破壊する」(プーチンの演説)から、彼ら(同性婚などのLGBT擁護政策推進者)は、イエスキリストが言う所の「ニセ預言者」そのものであり、それはまるで「悪魔崇拝」のようだ、と、プーチンは訴えているのだと思われる。

この点で、プーチンとトランプの宗教的価値観は、似ている。二人とも、支持者にクリスチャンが多く、妊娠中絶を推進するアメリカのリベラルと対立している。(共和党支持者は、中絶反対とはいえ、一切の中絶を認めないとする原理主義者は少数派である。胎児の意識が認められない妊娠初期の中絶については、反対していない人が多数。レイプ犯罪などでの妊娠については、中絶を認める考えの人がほとんど。ただし、妊娠何週目まで中絶を認めるかは、各州によって法律が違い、共和党の州は、中絶が認められる期間が短い。)

※日本では、統一教会を批判するときに、「統一教会はⅬGBT擁護政策を批判しているから差別主義だ」という人がいるが、同性婚などのLGBTQ擁護政策は、統一教会のような新興宗教に限らず、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教などの伝統的宗教とも相いれない(聖書、コーランの考え方にそぐわない)。リベラル思想は宗教全般について、その価値を軽視する傾向があるので、宗教に属する人や、信仰を持っている人とは、どうしても対立が生じやすい。プーチンは、ロシアがアメリカ民主党とは違い、宗教道徳を重んじる文化であることを強調しているのである。「人間の肉体には神の息吹(魂・霊)が宿っていて、肉体が滅んだ後も、魂は生きている」という思想は、宗教や、ギリシャ哲学ではソクラテスやプラトンなども説いている思想である。これに対して、プラトンのような哲学(ソクラテス、プラトンは、釈迦と同様、輪廻転生を説いている。)や、霊魂について説くような宗教思想は、人間の「自由」を束縛し、人々を狭い世界に閉じ込めてきた、と、考える考え方(代表的なものとしては、カールポパーなどの思想)が、現代ではリベラルの強い欧米日の大学では主流の考え方になっている。(カール・ポパーの信奉者としては、ジョージ・ソロスなどがいる。ソロスの「オープン ソサエティ財団」という名前は、カール・ポパーの思想に由来する)。

こうした教育(後者の教育)を受けた現代人から見ると、聖書やスピリチュアルなものを信じる人達は「進化論や現代の進んだ科学よりも、聖書や大昔の神話を信じる人=知性的に低い人」「頭が古臭く、現代にはそぐわない」と、受け止められやすい。

トランプ出現以降、そうした古い保守的な価値観(各民族の伝統的宗教を大切にする価値観)を持つ人々は、欧米のリベラル的価値観(カールポパーのように、宗教や迷信、スピリチュアル思想などに縛られないことを「開かれた社会」だと考える価値観)のもとにグローバル化を進めていくグローバルエリートたちに対抗して結束するようになり、その思想的対立構図が、今回のウクライナ戦争にも反映されているのではないか、、と私は考えている。

※聖書の記述の中に、「ソドムとゴモラの町」という神話の世界(伝説の超古代文明)が出てくるのだが、そこでは「男が男を愛し、女が女を愛し、性道徳が乱れたために、ヤーヴェ(神)が怒って、火の雨を降らせ、この町を滅ぼした」という内容の記述が出てくる。つまり、聖書を信じている人の中には、LGBTQ推進する現代の欧米を、聖書の「ソドムとゴモラ伝説」に重ね合わせて、「終末が近い」と考えて「神に滅ぼされるのではないか」と考えている人が少なからずいる。(現代に起こっている出来事を「ヨハネの黙示録」などに重ねる人は多く、先般、篠原常一郎氏もYou Tubeの対談動画で語っていた。時間がないので私は見ていないが興味のある人は見てみると良いかもしれない。)


 ※※※

茂木先生は、欧米主導のグローバリズムに対抗する視点からプーチン演説の要点を整理していますが、

これに補足して、

「エネルギー利権」と「宗教思想的対立」の視点にスポットを当てて、プーチン演説を紹介してみました。

私の解説も、一つの見方にすぎませんので、他にもいろんな視点があるかと思いますが、参考になるものがあれば、思考材料としてもらえれば、と、思い、急遽掲載しました。

プーチンの演説でも述べられているように、

ヨーロッパは、この冬は、ロシアから資源が来なければ、相当厳しい冬になりそうで、

イタリアの政権交代など、反グローバリズムのうねりも、あちこちで起こっています。

中国は昨年までは洪水に悩んでいましたが、今年は、干ばつで水不足が深刻化し、クーデターの噂が流れたりしていて、党大会まで目が離せない状況ですし、

韓国は、バイデンの半導体政策のダメージで、1ドル1400ウォンという、ひどいウォン安が進み、経済がとても危機的状況に進んでいます。

その弱みをついてか、ロシアから支援を得て、強気になっている北朝鮮が、ミサイル発射を加速していて、もう世界中が本当に世界史的に類を見ない規模での「激動期」に来ている感じがします。(プーチンも演説で 世界全体が大きな変革期にある、と、語っていますが。)

ここまで来ると、私にはもはや、先はまったく読めません。一寸先は闇。何が起こってもおかしくない時代だと思っています。(突然大地震がきても、ミサイルが来ても、大雨で停電しても、キルネットなどのサイバー攻撃で、金融システムが突然使えなくなったり、テロなどでインフラが破壊されても、ウクライナ問題が世界大戦に発展しても、UFOが現れて地球襲撃してきてもw、、etc  とにかく何があってもおかしくない時代だと思っています)

孔子は、晩年、川上で、「逝く者は斯くのごときか」と、諸行無常を嘆じたと言われます。

「方丈記」が書かれた鴨長明の時代も、貴族政治で世を治めることが限界を迎え、武士の時代へと移り変わる激動期で、平安末期の荒れた時代で、京の都は治安も乱れ、腐乱した死体が町にあふれていたと言われます。

だけど、どんな時代も、希望を失わずに高邁な精神を持って精一杯、他者を愛して生きた人達は、時代を超えて、多くの人に勇気や希望を与え続けます。

それが、時代を超えた価値となり、「論語」のような古典として、読み継がれてきたわけです。

だから、私も、この厳しい時代を確かに美しく生きた、、と語り継がれるような、そんな生き方を目指しながら、古典をみんなと一緒に学んでいけたらいいな、、と、願っています。

一生懸命学んでいる生徒達を見ると、私自身、「日本はきっと大丈夫」と勇気と元気をもらっています。

来週からは、また月3ぐらいのペースで古典の助詞の項目の続きを中心に、更新していきますね。

長いこと空けちゃってごめんね、お許しあれ。





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